■≪日本産業法学会 広報委員会 座談会≫
日時 令和5年6月8日
テーマ 小規模事業場の安全衛生は、どこまで・どのように取り締まるべきか?
参加者
<本日の座談会の議論の目的>
森 産業医科大学の森晃爾と申します。日本産業保健法学会では、広報委員長をさせて頂いています。もともとは長く専属産業医をやった上で大学で教員となり、今は産業医学の研究者として色々な行政委員会にも参加しています。
最近では「産業保健のあり方に関する検討会」で50人未満の事業場にどのように産業保健サービスを提供するかという議論がよく行われています。しかし、一般健康診断が義務であることは皆さんご存知でほぼ行われているのですが、「医師からの意見聴取」とか、「健康診断の事後措置」なども、罰則規定はないのですが既に義務になっています。実際に厚生労働省が調査をすると、健康診断で精密検査が必要だということなどに対する指導はされているようで、90数%は「されている」という結果が、小さな事業場からも返ってくるのですが、有所見者がいるにもかかわらず、「医師または歯科医師から意見を聞いた割合」は、「30-49名」の事業場では、47.5%、「10-29名」の事業場では30.9%にすぎません。これは地産保を利用しているという数字も入れてです。そのような、いわば法令違反の実態があるにもかかわらず労働基準監督署の取り締まりはそれほど厳しいものではありません。今後も色々な義務をかけていったとしても、そもそも法令ができてもそれが順守されるという担保が前提になければ、まじめにやるところだけがまじめにやる、ということになってしまうようにも思えます。今後は化学物質の自律的管理についても、そのためにはきわめて専門的な知識が必要になってくるわけですが、小規模事業場に対しては、法令が十分に順守されていないという実態がある中で、どのように担保するのかが、今後の法令義務化の課題になるのかなと思っています。
そういう方法のひとつとして、マンパワーの問題もあるかもしれませんが、労働基準監督署の取り締まりを強化するという考え方もありますし、それ以外にも法令の実効性を担保する方法があれば、そうした取り組みも今後は必要ではないか、また逆に小規模事業場は義務化されても現実的には無理ではないか、という考え方もあるかもしれません。
今日は以下の3点について自由に意見交換できればと思います。
①労働基準監督署による臨検等の取り締まりを強化すべきか?
②取り締まり以外に、法令の実効性を担保する方法はないか?
③その他、小規模事業場での労働衛生対策を向上あせるための方策
本日ご参加される方は、皆さんは全員がお互いに顔見知りではないと思いますので、最初に自己紹介を頂き、一回、皆さんの考えをザっと伺った上でディスカッションをした方が良いと思いますので、そういう形で進めさせて頂こうと思います。
まず、西脇先生、お願いできますか。
<自己紹介>
西脇 弁護士の西脇です。私は元労働基準監督官で、最初に配属されたのが東京労働局、その後、本省に移り、ほとんど東京にいます。本当は労働基準監督官は二局なので全国転勤のはずなのですが、私も二局なのになぜか大半は東京にいるという経歴です。
弁護士になった後、産業保健法学会第1回学術大会で近畿大学の三柴丈典先生にお声掛け頂いて、学会に加入し、今は三柴先生の私塾でも日々勉強させて頂いています。
今回のテーマは、私自身も関心がありますので、是非皆さんの意見を伺いたいし、有意義な交流ができればと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
森 ありがとうございます。続いて原先生、お願いできますか。
原 社労士の原論と申します。元監督官で19年ほどやっていました。最初は神奈川にいて、その後、埼玉、それから東京、最後は神奈川に移りました。
今は、福岡を拠点に動いています。妻が単身赴任で福岡に行き、私も福岡への異動を希望したのですが、家族が倒れたために辞めて戻ったという流れでした。監督官を辞めて何をするかは決めていなかったのですが、何となく社労士でもやるかと思い立ちました。立ち上げ当初はなかなか厳しかったのですが、今は何とか軌道に乗っています。社労士と言っても、顧客先の企業の依頼で安全パトロールなどをやっていることが多く、その他は顧問先からの相談対応などをしています。
行政OBの方は行政の立場を負って話される方が多いのですが、辞めた経緯から行政に忖度する必要はなく、労働行政のいいところ、だめなところも含めて、お話しできればと思いますので、宜しくお願いします。
森 人選の意図が大変よく分かる自己紹介をありがとうございました。それでは森口先生、お願いいたします。
森口 京都工場保健会という労働衛生機関に所属して産業医の仕事をしています森口と申します。ふだんは嘱託産業医としてあちこちに行ったり、産業医部門の責任者という立場でもありますので、私の仲間が常勤で14名ほど、全部で30名弱という所帯で、それぞれが事業場に出向いていったり、という形です。
私は京都府医師会の産業保健担当理事をしていますので、地産保の運営主幹という仕事もしています。森先生とは日本産業衛生学会でご一緒させて頂いています。どうぞよろしくお願いいたします。
森 ありがとうございます。それでは齋藤先生お願いいたします。
齋藤 私は、現在、保健師で開業しています。もともとは大規模病院のナースからスタートし、労働衛生機関の仕事を経て、予防を学びたいと思い、保健師学校に行き、その後、地域保健師(保健所保健師)を経て、大規模の製造業に先輩が引っ張ってくれて、そこで産業保健を経験しました。その後、家庭の事情で辞めてパートをしたのですが、その時に東京都福祉保健局が行う小規模・零細企業向けの巡回健康相談があり、私が小規模事業場と出会ったきっかけです。一期一会の保健指導・面談で、そのあとも気がかりなのですが、アプローチできないという苦しさがあり、何とか小さなところを継続して支援できないかなと思ったのが、個人事業主として独立したきっかけです。15年ほど個人事業主をやった後に開業保健師の仲間と協会を立ち上げました。自分自身も小規模経営者でしたので、中小企業庁の補助金を活用して法人化しました。小規模事業場の支援が私のライフワークだと考えており、法的なインフラが整い、われわれのようなリソースを活かせられるようになるといいなと願いながら仕事をさせていただいています。よろしくお願いします。
森 ありがとうございます。今の自己紹介をお聞きして、監督官の立場が分かっている方が先に話すと、後の方が話しにくくなると思いました。今日は、先に森口先生、齋藤先生からお話を頂き、西脇先生、原先生の順番でご発言を頂いて、その後に私も発言をさせて頂くことにしたいと思います。今日のテーマは先ほど申し上げた通り①~③とありますが、あまり区別せずに語って頂いて結構です。
それでは、森口先生、お願いいたします。
<始点となる「困りごと」というきっかけ>
森口 ①の「監督署による臨検等の取り締まりを強化すべきか?」というテーマについて、できるのであればして頂けるといいなと思います。実際に私が小規模の会社、中小事業場からご依頼を頂くきっかけは「労基署から指導を受けた」という理由が多いように思いますので、きっかけとしては非常に有効だと思います。ただし、監督官の方は足りているのかなという素朴な疑問がありますので、後ほど教えて頂ければ有難いです。
②については、取り締まり以外で実効性と言いますと、私が色々な中小企業とお付き合いする中では、産業保健活動が続いていく会社は、それなりに喜んでくれて、やはり関わってくれてよかったということがあり、私が最初の要望と違うことを提案すると、乗ってきてくれたりということもあります。まれなケースですが、結果として健康経営まで取るという話にまでいってしまった50人未満の会社を経験したことがあります。そこは私の後輩に引き継いで定期訪問し、健康経営の手伝いをしたり、私の同僚の心理職がメンタルの講演をしに行ったりと、結構普通の産業保健の取組みに至っています。企業に取組みの効果を実感してもらうことが必要だと思っています。
そうなると法律を一度に網羅的にやるというのは、実効性の意味でなかなか難しく、先方の困りごとに寄り添って、2番目の困りごとに着手する、というように少しずつ拡がっていくというのが現実的なのかなと思っています。
いったん、以上です。
森 ありがとうございます。「困りごと」というのがキーワードだったかなと思います。それでは齋藤先生にお願いいたします。
<取り締まり強化というきっかけ、企業への補助金等のサポート>
齋藤 労基署の強化は、私もきっかけになるのではと思います。なぜならばドキッとしないと動かないので。ただそのドキッの仕方が事業場さんによってまったく違うのです。中には、創業以来一度も引っかかったことがない事業場に行ってみると、安全衛生面が何も整備されていないようなところもあります。やはり本質的なところですが、経営者の理解がないと実質的な安全衛生活動につながりません。そこに忸怩たる思いをすることがあり、ここには労基署に入ってほしいと思いました。例えば、健康診断の結果すら保管していなくて、労基署報告の督促を2回も受けてようやく提出したのですが、「産業医の欄」が空白なのです。嘘はつけないので「現在、鋭意探しています」と説明して了解を頂き、その後、産業医の先生をお探しして、きちんとしたものを報告できるようになった、そんな事例がありました。
もうひとつは、私は労働衛生コンサルタントとしても活動していまして、時に建設業で墜落事故があったりすると安全の先生が2人ペアで支部から派遣されるのです。1年間のプログラムがあって、その中で、例えば健康診断の結果の見方や、どのくらいの血圧であったら高所作業を止めさせた方がいいかといったことは衛生の先生にサポートいただきたいということで、私は一回だけ参加したことがあります。小規模事業場が1年間、費用を出して安全衛生に対して体制を整えていくのは負担が大きいかなと思うので、これは今後の対策の話なのですが、補助金等も含めて検討していただけると実効性のある継続した支援ができるのではないかなというように感じています。
森 ありがとうございます。どのように監督署に入ってほしいかについて、経営者の理解が全くないところが外から分かれば、そういうところを狙っていってほしいというお話だったと思います。ありがとうございます。それでは続いて西脇先生、お願いします。
<中小企業の安全衛生意識を向上させる仕組み>
西脇 労基署による臨検の取締まりの強化という点について、私も前職の時には感じていた課題がありました。安衛法は従業員の健康や安全を守るための法律ですが、その法律の罰則が重くはなく懲役刑の適用はほとんどないというのが実情です。法律的な規制で取締まりを強化しようとしても、そもそもこれが適用されたからといって課徴金や公取のような多額の金銭の支払いが求められるわけではなく、実効性の点で課題があると感じていました。
中小企業において、こうした法律が十分に順守されていないのは、経営者の意識がそこに向いていないからだと思います。中小企業では、とりあえず事業の継続と成長が最も優先的な課題で、そこには多くの人的資源や財源が投資されますが、安全衛生面に意識が向きづらい傾向はあると思います。その優先順位を上げるためには、何らかのきっかけが必要です。そのきっかけとして、「経営的なアプローチ」と「外からの圧力」があります。「経営的なアプローチ」としては、健康経営やワークエンゲージメントの向上、あるいは従業員への健康配慮をPRすることで人材の確保・定着や離職率の低下を図る、そうした経営的なアプローチ、等が挙げられます。もう一つが「外的な圧力」で、監督署の取締りも一つのきっかけになると思いますし、大企業を顧客に持つ中小企業がサプライチェーンの観点から指導を受けたり、取引を維持するためにそうしたチェック項目を満たすことを条件としたり、親会社から指摘を受けたり、労働災害が発生して問題が顕在化して対応が迫られたり、そうしたきっかけがないとなかなか意識は向かないと思います。そういう意味では外部的な圧力として、労基署による取り締まりは有効なのではないでしょうか。
<不足する労基署のマンパワー、企業の自主管理報告の仕組み>
西脇 労基署のマンパワーについて、監督官は基本的には足りていないと思います。足りていないから毎回、施策に載せて増員を要望しています。たとえば今回は、物価の高騰に対し賃金を底上げしようということを施策的に示し、それなら労働行政として「同一労働・同一賃金」だということで増員要求をします。今年はおそらく50人ほど増員されていると思いますが、そのように施策に合せて根拠を立てて増員するというのを、あの手この手でやっているのですが、ただそれでも取締まり機関の人員は足りていない。要するに事業場が多いので、仕事も多いのです。やろうと思えばいくらでもあって、その裾野を広げたり、その裾野を掘り下げたりしていくとなるとかなりの人員が必要になってきます。死亡事件などにコミットしてしまうと、それだけで時間がとられてしまい他の会社に訪問できなくなってしまいますので、そういう意味では人員はまだまだ足りていない。もっと増やしていくということはあり得るのではないかなというように思います。
取り締まり以外に法令の実効性を担保する方法について、私も元は行政にいたので行政の立場から言いますと、最近の流行りの化学物質の自律管理のように、安全衛生面でやるべきことを自主的に報告させる仕組みあるのではないかと思います。会社の方で自主的に履行状況を報告する仕組みをとれば、その報告を頂いた会社は調査対象から外しますというような形にするとか、その報告について虚偽報告をしたら罰則を科す、という対策も可能になります。届出や報告という仕組みは、たとえば事故発生時に死傷病報告を提出するとか、健康診断結果を報告する、という既存のものがあることはありますが、もう少し総括的なものを自主的にやる。現在も自主点検制度はあるのですが、もう少し充実させていく必要があるように考えています。
<小規模事業場の福利厚生サービス、外部スキームの構築>
西脇 その他、小規模事業場での労働衛生対策を向上させるための方策について、小規模事業場が活用している福利厚生サービスの中に労働衛生を向上させるような仕組みができないかなと思っていました。労働衛生に焦点を当てたものでなくても、従業員の健康確保という視点でもいいかもしれませんが、色々な福利厚生のメニューの中にそういうものを組み込むと衛生対策として従業員の健康確保につながるのではないかなと思いました。
あとは先ほど申しあげたサプライチェーンの話で、今はILOの方で「安全で健康的な労働環境」が5分野目の原則と決まったので、それを踏まえてサプライチェーンの項目に安全衛生を入れると良いのではと思います。大企業では既に実行されていると思いますが、小規模事業場でも親会社、グループ会社、ホールディング会社などで実施されているものを活用すると良いと思います。小規模事業場だけで独自にやるのはなかなか難しいと思いますので、サプライチェーンのチェック項目、取引条件、あるいはその条件を達成するうえで取引先やグループ会社で支援する体制が望ましいと思います。これも一つの外部からの圧力かもしれませんが、例えばそれを順守しないと取り引きがなくなるとか、取り引きの良好な関係を続けていくために必要不可欠な位置づけにするとか、そういう社会的なスキームがあれば有効だと思います。グループ会社や監督署、あるいは行政など、外部的な圧力によって、経営者がそこに意識を向けるような仕組み作りも、一案としてあるのではないかなと思いました。以上です。
森 ありがとうございます。監督署の人手不足という実情も含めて多面的なお話をいただきました。後ほど、このあたりも意見交換できればと思います。それでは原先生、お願いします。
<圧倒的に不足する監督官・数だけではなく質も課題>
原 私も基本的には西脇先生に同感で、監督署に人が圧倒的に足りていないというのは間違いない話です。事業場自体が約500万社、それに加えて有期事業場などの建設現場も監督対象となります。実際に現場にいる第一線の監督官は約3,000人といわれていますが、1人頭1,000数百~2,000社となり、地域差はありますが、都内などですととてつもなく多い数になります。それに加えて、労働者からの相談など処理をしなければならない受動業務というのも非常に多い。そうなると地域差はありますが、全ての事業場を見るのは到底無理なのが実態ですから、監督署の機能を強化すべきだというのはまちがいありません。
また、監督官の能力的な課題もあります。もともと監督官というのは専門官のような形でやっていました。安全衛生に関しては、専門に行う技官制度があったのですが、技官の新規採用がなくなる新人事制度が導入されました。同時に労災担当の事務官も採用がなくなりました。監督署業務全部を監督官がやるというオチまでついて、監督官の人数を増やすと言っても、第一線で活動する人数はほとんど変わっていません。その結果、広く業務を行うことで専門性は弱くなる。実際に現場に出て、その経験から学ぶことが大きいのですが、安衛法の参考本だけを読んでもよく分かりません。そうなると今の第一線の監督官の能力差もどうしても出てしまいます。研修のための教育制度自体も十分とは言えません。マンパワー的には非常に弱いというのが正直な感想です。
取り締まりを強化すべきだというのは間違いない話です。先ほど、罰則自体の重みという話はされていましたが、本当に私は懲役がつくくらいの罰則がついてくれたらいいなと思います。私も20件ぐらい送検し、そのうち3分の2は起訴されたのですが、ほぼ罰金刑でした。1件だけ懲役がついたものがありましたが、これは警察が逮捕したという事情が大きかったからだと思います。ただ、罰則内容によらず監督署からの勧告を受けたこと自体が、事業場に影響を及ぼす側面もあります。たしかに反発するような事業主もいますが、反発するということは何かを恐れているからです。そのような側面から問題のありそうな事業場は全部ピックアップしていくことにはなっていますが、実際にはできていないのが現状です。
<「報告もの」の裾野を広げる>
原 それでは何が必要かということですが、②とも関連しますが、「報告もの」自体を増やしてしまうのが有効かと。今は定期健康診断結果や産業医の選任報告義務は「50人以上の事業場」に課していますが、これをある程度下げて「10名以上」としてしまえば、だいぶ裾野は広がってきます。そうすると報告が出ていないところにアプローチしやすくなります。役所の方はどうしても人員的に足りませんが、どこに問題があるか分かりづらいので、様々なデータから監督対象を決めているところがあります。そこで「報告」を義務化すると、報告がなく10名以上の事業場を対象にできます。監督署は人数が足りないので、指導の仕方など色々とアプローチを変えています。
まずは先ほど出ました自主点検です。監督署では全ての事業場を見ることができないので、まずは事業場自身で問題を解決してくれという発想で点検を求めます。点検をして問題がなかった、若しくは改善したという報告がくればそれでよし、報告なしや内容に問題があれば、「自分で点検ができないのであれば監督署が直接見ますよ」という絞り込みができます。
その次に集団指導という名前の指導方法で、報告のない事業場や問題のある事業場を全部呼びつけて説明会を開き、そこで具体的な問題点などの指導を行います。最後に、呼び出しにも応じないところに臨検監督をかけるということになります。
そういう経験から、産業医の選任基準を労働者「10名以上」に引き下げると色々なアプローチが可能になってくると思います。ただそうすると今度は、産業医の方のマンパワー不足が問題になります。監督署にいた頃、「名義貸し」の可能性のある事業場を対象に関東指導をやったことがあります。各事業場からの産業医の選任届出がありますが、事業場で選任している産業医については、逆引きもできるのです。つまり、ある事業場が選任している産業医が他にどこの事業場から選任されているのかも分かるのです。1人の先生が何10事業場も見ていて、労働者数も3,000人を超えているというようになると「名義貸しだろう」という疑いが出るわけです。ただそれだけの調査では焼け石に水です。結果的にはそういう報告自体の裾野を広げてやっていくという形でやらないと、実際には問題のある事業場のチェックはできないかなと思うところはあります。
助成金の話も出ましたが、役所にいた立場から見ると、助成金は予算獲得のための手段という側面が見え隠れするもので、予算が増えれば自分のところの権限が広がる、上からの評価を受けやすいなどなってしまいがちの方策です。そのため、もっと実効性のある取り組み、例えば産業医の派遣自体に対して直接費用を出せるような仕組み、国が直接、産業医に対してお支払いをする、事業場を見てもらうというように裾野を拡げ、10名未満も含めてやってもらう。そうすることによって、小規模事業場にも産業保健関係のアプローチができるようになろうかと思います。今のところ、小規模事業場で自主的な取り組みが見られるのは安全面が精一杯です。健康面はどちらかと言いますとそこまで進んでいないなというのが正直な感想です。そこまでできるという事業場は、既にできているという話になりますから、小規模事業場には外的な仕組みにより改善していくしかないのかなというようには考えています。
<前半の議論の総括・課題整理>
森 ありがとうございます。労働基準監督署による臨検等の取り締まりについては、皆さん、できれば強化した方がいいというご意見で、森口先生の仰る中小企業の産業保健は「困りごと」のようなきっかけがないとなかなか進まないところがあり、その「困りごと」を作ることになる。しかしながら監督署のマンパワーを考えると現実的には無理があり、そこをどのように効率的にやっていくかという話の中で、自主点検やデータというキーワードとして出てきました。
例えば、健康診断の事後措置や長時間労働の面接指導関係は、対象者が発生した場合の計画がなければ、いざという時に絶対に対応はできないので、労働衛生計画書、産業保健計画書のようなものを予め作ってもらい、こういう時には○○先生に頼みます、○○病院に行きますというようなものを出すだけでもかなり違うのではないかと思います。そういう色々な計画を作らせて、段階的に未整備の事業場を絞っていくというご意見もありました。また、健康経営やサプライチェーンも含めて外的な圧力をかけるのも一案という話がありましたが、一方でこれをあまり徹底すると「下請けいじめ」になってしまう懸念もある、というところでしょうか。
それではここまでの話を聞いて、たしかにこうだ、こういうことはもう少しできるのではないかというような話があれば、追加でいただければと思います。森口先生はいかがですか。
<事業場の自律的チェック・産業保健スタッフ全体の質の底上げ>
森口 私は困りごとの話をしましたが、一方でインセンティブをつけていくという方向性も必要だなと思って聞いていました。西脇先生が仰った自主的な報告について、6年ほど前に産業衛生学会の政策法制度委員会と中小企業安全衛生研究会でまとめた提言がありますが、その中で就業規則を定めなければいけない会社は、安全衛生の方針も一緒に出させるのがいいのではないかという案が出ていて、とても近い話だと思います。そこに今後の化学物質の自律的管理になっていく中で、あれもこれもとなると苦しくなると思いますので柔軟性を持たせて、優先度が高いものをしっかりやっていく。そこに外部の専門家が入っていくことが現実的なのかなと思います。自律的に自分たちで完結できればそれが一番ですが。
私が15、16年ほど前にオランダの調査をした時も小規模事業場は自分たちで簡単なリスクアセスメントをして、それに基づき改善を走らせて、それでもうまくいかない時だけ指導が入り、プロフェッショナルが入っていくという図式でしたが、今後の日本でもそういうスタイルはあり得るように思いながら聞いていました。
先ほど原先生が言われた産業医の選任基準を10人以上にしてはどうかという話は、地域によってはかなり実現困難だと思います。そこで、産業医を選任したからといって毎月1回来てくださいという窮屈なスタイルではなく、バックアップ役として産業医がいるというぐらいで、今ですとむしろ「名義貸し」というと悪い印象ですが、そういう規模においては、きちんといつでも行きますという対応できる準備をしていくという形はあるのかなと思います。
産業医についてもう一つ付け加えますと、そういう時にバックアップしますと言えるほどの技術があるかと言いますと、そこにも少し難しさがあります。京都でも今、産業医大の力を借りて良質な実地研修などを提供して底上げをしようと思っていますが、一歩ずつだと感じています。重点的に取り組んだメンタルヘルスは5年、10年経って苦手感は多少軽減していますが、自信満々という先生は多くはないだろうと思います。産業医も保健師も、技術や意識にはバラつきが大きく、多職種連携の中で全体を底上げをしていかなければいけないということもかなり課題になると思います。以上です。
森 ありがとうございます。齋藤先生、今までのところを聞いてということと、森口先生のお話を聞いていて追加でお聞きしたいのが、小規模事業場では産業医の関わりがほとんどない中で保健師中心に動いているということなのですが、50人以上では産業医が動いて保健師や看護職と連携ができているかと言いますとなかなかそうはなっていない。そのような関係の中で、小規模事業場に、保健師中心でやった時に、せめて産業医がこのくらい関わってくれると、あとは保健師が回せるから、という技術的なことを聞かせてもらえるとうれしいです。
<小規模事業場がグループとしてステーション機能を持つこと>
齋藤 今の話の前に、少しだけ中小規模事業場でも課題感はまったく違うのだということをお話しします。先ほどは経営者の意識という話もありましたが、衛生管理者がキーマンになっているところもあります。一つ一つの課題がどの程度のレベルで、それを解決するためのリソースはどこにアクセスすれば分かるのかというようなことを、今、ある研究会で議論しているのですが、多職種連携で、衛生管理者に機能してもらうことで、事業場が自分のところの課題感を解決していく仕組みができればいいということがあります。
先ほど西脇先生が言われた自主点検の紙が送られてきた事業場から相談を受けたことがありますが、あのチェックリストをきちんとなぞっていくことで、自分たちができていること、できていないことが見えてくるという意味では、自主点検票は意義があると思っています。一気に解決はできませんが、解決のための費用や、必要なリソースについて見えるかを図ると取り組みやすくなると感じています。
それから③の労働衛生対策を向上させるための方策というところでは、私も50人未満の事業場を支援する上で地産保を利用させてもらっているのですが、回数制限や日にちや時間の制限があり、なかなかそこに行かせるのが難しいのです。小規模事業場では1社での契約が難しいと思いますので、いくつかの企業を1つのグループとして対応すると良いのではないかと考えています。例えば、京都なら京都工場保健会があり、その周辺のエリアの中小規模事業場が一つの組合を作り、労働衛生機関で産業保健スタッフはある程度キープできていて、ステーションのような機能でバックアップできるという仕組みで、地域ごとにそういうものがあると、労基署との連携もうまくいきやすいと考えています。
ある会社の社長がライオンズクラブでストレスチェック制度が始まるらしいという話を聞いてきて、どうしたらいいかと私に相談が来たのですが、そこは色々な状況が整備されていないので、ストレスチェックをやる前に、衛生管理者や衛生委員会の設置などやるべきことがたくさんあるという話をして徐々に体制を整えていった経験があります。やるべきことのマップやリストのようなものがあると潰していけるということがあり、そのような見える化も重要だと思います。
<看護職と産業医のパートナーシップ>
齋藤 森先生からご質問の産業医とのパートナーシップですが、50人未満のところで、保健師だけでやっていくと当然限界がありまして、その場合は主治医との連携、両立支援においては総務、人事労務を通じて上司や総務の人が主治医と連携するためフォーマットづくりを一緒に考えることまでは、保健師としてできるのですが、医学的判断ができないので、その点では地産保を頼ったりしました。ただタイミングを逸するとメンタルの場合はなかなか行ってくれなくて難しかったことがあります。50人以上のところも、実は産業医の先生はいますが、出社頻度が少ないところもあり、そういうところは先生とシェアをしています。今は、400人を超えているのですが、全国に分散しているので本社が200人、残りの250人が10箇所に分散しています。嘱託産業医の先生は、月に2時間ほどです。そうなると安全衛生委員会や、復職や過重労働の面談などを入れていくと、健康診断の就業判定などは、私の方で最初に仕分けをしておかないと、産業医の出務時間の中で処理することは現実的には難しいです。本当はシステムがあればいいのですが、ほとんどの中小規模事業場は紙なのです。以前、労基署から指導を受けていて、健康診断の就業区分のチェックを入れて頂き、印鑑を押すという作業が、限られた時間ではできない。ただ先生とのパートナーシップがうまくいっていれば、ここまでは保健師がやってもいいという許可を頂いて対応が可能になります。過重労働面談も月に1~2時間しかお出でにならないと、時間枠の中で、関係者の調整が難しいので、看護職がプレ面談をしてその結果をお伝えするというやり方をしているケースもあります。高ストレス者の面談も全員にはできないので「産業面談を希望」にチェックが入った方は、必ず産業医面談を実施し、実際は3ヵ月ほどかかったりします。
森 ありがとうございます。パートナーシップの様子がよく分かりました。ありがとうございました。
森口 パートナーシップについて、一つ宜しいでしょうか? 私たちのところでも50人未満の比較的小さい企業で、産業医選任義務があるところでも、どちらかと言いますと保健師が前に立ち、私が後ろにいるという図式でやることがあります。今言われたようなことにかなり近いと思いますが、健診の就労区分を記入するということと、もちろん面接希望があれば、面接はこちらできちんとやりますが、その他の部分は、本当に産業医に近いようなことを、職場も見てもらったり、衛生委員会でも少し話してもらったりということも含めて保健師さんにやってもらいます。ベテランでない者が担当する場合、色々教えながらやっていくところもあります。役割分担は医者同士でも、保健師とでも色々な場面で変わるとは思います。中核になるのは関わる多職種の中で一番実践経験がある人がなって、齋藤先生が言われたようにお膳立てをして、産業医として1年目というような先生の場合は、道筋はこういう感じでお願いしますと言ってくれた方が、先生も安心ということもあるかなと思い、色々なケースがあると思ってお聞きしていました。
森 保健師や衛生管理者など色々な職種が関わる中で、先ほど出てきた「やるべきことマップ」のようなものが共有されると質が揃っていく、完全には揃わないでしょうが、徐々に揃っていくことに役立つかもしれないなと思いました。
それでは西脇先生、監督官あるいは弁護士の立場で、追加のコメントをいただければと思います。
<地域産業保健センターの登録産業医の支援サービスの充実化>
西脇 私も現場にいた時にこのへんを手厚くした方がいいと思っていたのが、地域産業保健センターの50人未満の小規模事業場に対する産業保健サービスの支援です。例えば、健康診断の就業意見や、産業医の面接指導などです。地産保に登録されている産業医を通じて支援するというサービスが、もう少し充実したら、労基署の担当官も安心して相談してくださいと言えるので助かるだろうなと思いました。これも医師会との関係があるようで、回数制限とか、都道府県によってその温度感が違っていたりすることがありますから、もう少し予算を取り、先ほどの原先生の話と重複しますが、産業保健サービスがより機能するところにもう少しお金を投入して、そのうえで労基署とも連携して、取り締まりの裾野を拡げていく中で、そうした連携を充実させると、きっかけにもなり法律の求めている要求事項を具体的にどうしていくのかが分かる。担当官も言いっ放しのところもあり、要するに法違反を指摘して終りということで、それを是正する具体的な方法や、産業医を選任してくださいという違反なら、産業医を選任してくださいという話で終りなのですが、それならその産業医をどこからいい先生を見つけてくるのか。あるいは健康診断の医師の意見をきちんととってくださいという時に、その医師は健康診断を実施している機関の医師ではだめなのですかということなどで、要するに素人的な問答になるので、ここに相談していただければ、産業医の面接指導も受けられるし、就業意見も出せるし、今回お示しいただいた法律上の要求事項が達成できるというところを言えるようなサービスを掘り下げて充実させていくことは重要であり、分かりやすくていいなと感じました。
ひとつは、安衛法という法律は、行政解釈もガイドラインも指針なども色々あって非常に細かい。安全の方はさらに細かいのですが、健康の方でも、全業種に共通する部分はまだ分かりやすいのですが、やはり業種や規模によって優先課題は大きく異なります。行政の立場から画一的に優先事項を指定するのは難しい。結局、全て法律で決まっているので、全部守って下さいというのが、行政マンの基本的な発想なのです。ただ、これは絶対にやらないといけないこともある。例えば、従業員の方に有所見の方がいて、それが脳・心臓疾患に関する有所見だとすると、そこを見落とした場合に、長時間労働などをさせると発症リスクは高まりますので、優先度は高いはずです。それは一例ですが、これをやらないと従業員の健康やコンプライアンス的なリスクが高いというところを取捨と言いますか、この言い方はよくないかもしれませんが、もう少し小規模事業場の予算規模では、全部が全部できないので、そこは最低限必要なところを。たとえばリスト化するとか、それが自主点検の項目になるのかもしれませんが、そういうところでスコープを絞って、労基署などが自主点検でアプローチしていったりして、あるいは、制度的な法整備になるのか、先ほどのサプライチェーンになるのかは分からないのですが、そういうところで活用していくということは、考えられるのかなと聞いていて思った次第です。
森 ありがとうございます。何か色々なアイデアがふくらんでくるようでいい感じがします。それでは原先生お願いします。
<労働者の健康管理に対する会社・国の認識がポイント>
原 中小規模事業場で弁護士と顧問契約を締結しているところは少ないと思います。社労士と契約しているところも2、3割ぐらいかなと思います。ところが、税理士に依頼しているところとなるとかなりの割合です。つまり、必要なところに必ず金をかけるのです。従業員の健康管理が必要だと認識されれば、必然的に産業保健のニーズが企業の中に出てくるはずなのです。ただ、そのようなニーズのある事業場に産業医を選任できるようなバックアップ体制ができていない実情があって、500数万の全ての事業場に直ちに産業医を選任するのは無理な話だと思いますが、そういうところに上手く配慮できる仕組みがあると良いと思います。例えば、そのような相談に応じることができる、ここではこういうサポートを受けることができる、というところをまず整備する。本来は、そこが地域産業保健センターになるはずだったのですが、そこがまだ十分に機能しておらず、面接指導の依頼をしても何週間も後で回答があるという実情がありますので、即座に対応できるような組織ができるといいのかなと思ったりします。そのためには予算を割いて段階的に進める必要があると思いますので、国が働く方の健康をどこまで重く見て施策を組んでくれるかという点にかかってくると思います。
<まとめ>
森 ありがとうございます。最後の話は、要は会社も国もどのくらい安全衛生に資源を投入できるのか、優先順位はどうなのだというお話だと理解しました。少なくとも働く人が減ってきている時代なので、以前よりも会社も国も、働いている人の健康に意識が向いてきたということと、「産業保健のあり方に関する検討会」で労働衛生課の先生と議論をしている中で、今から5年や10年前にこういう話をして中小企業に色々なことを義務づけようとしますと必ず反対の議員さんが現れるという話があったのですが、今回は中小企業をバックにする団体も、議員さんももっとやるべきだという雰囲気になっているという話なので、意識は少し変ってきているのだろうと思います。
逆に提供する専門資源やサポートする国の資源が足りないという問題や、先ほどお話があったように、ただ頭数を増やすだけではなく、人的な品質を揃えていくのが最も時間がかかることなので、「やるべきことマップ」や優先順位をつけるとか、自主点検をうまく使うといった色々なアイデアがありました。そういうもので補っていくということをセットで展開していかなければならないのだなと思いました。
最近の個人事業者の検討会でも必ず出てくるのが中小企業団体の活用の話です。共同選任と言っても共同選任の音頭を取る事務局の方がいないとうまくいかないので、最近では産業医選任の補助金は、そういう団体経由で出すという方向に変わってきているようです。ただ、そういう団体の顧問的な位置に社労士や労働衛生コンサルタントのような専門家が関わる仕組みができないと、おそらく何をやったらいいか分からない団体ばかりになってしまうのではないかと思います。
監督署に臨検等による取り締まりを500万社全てに一度に行うのは現実的に無理な話ですが、それでもそういうことをきっかけに活用していただくなら、一方で、それ以外の方法も併せてやって初めて一歩前に進むのではないか、大きくまとめるとそのような話だったと思います。
それでは本日の座談会を終わりたいと思います。引き続き色々なところで意見交換をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
以上
【プロフィール】
森 晃爾 産業医科大学産業保健経営学研究室教授
産業医科大学医学部卒業、同大学院医学研究科博士課程修了。13年間の専業での産業医経験を経て、2003年より産業医科大学産業医実務研修センター所長(教授)、2012年より現職。その間、2005年~2011年副学長。現在、健康経営に関する研究と実践に従事。2014年より次世代ヘルスケア産業協議会(現、健康医療新産業協議会)健康投資ワーキンググループ主査、健康経営度基準検討委員会座長ほか、国の健康経営の設計運用に携わる。その他の専門分野として、労働安全衛生マネジメントシステム、産業保健の統括マネジメントがある。現在、公益社団法人日本産業衛生学会理事長、一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会副会長等として、労働安全衛生分野全体の発展に貢献している。
森口次郎 京都工場保健会理事
1992年産業医科大学医学部卒業。1995年京都工場保健会医長、2017年より現職。博士(医学)、労働衛生コンサルタント(保健衛生)、日本産業衛生学会専門医・指導医、社会医学系専門医・指導医、日本産業衛生学会業務執行理事、京都府医師会理事(産業保健担当)、産業医科大学産業衛生教授。中小企業をはじめとする企業の安全衛生向上や人材育成に取り組んでいる。
齋藤明子 株式会社ヘルス&ライフサポート代表取締役
保健師、労働衛生コンサルタント(保健衛生)NPO法人保健科学総合研究会理事、日本開業保健師協会理事
1983年東京都立看護専門学校保健学科卒。総合病院、健診機関勤務を経て保健師学校に進学。行政を経て産業領域へ入職、大規模事業所の常勤保健師を経験後、パート勤務から事業化、平成11年個人事業主として活動開始後、平成25年法人化。中小事業場向けの安全衛生体制づくりや健康サポート及び産業保健看護職向けの人材育成に取り組んでいる。
西脇 巧 ニシワキ法律事務所
弁護士、社会保険労務士、労働安全コンサルタント/労働衛生コンサルタント。厚生労働省に労働基準監督官として15年勤務。退官後、弁護士登録(第一東京弁護士会)し、TMI総合法律事務所に入所。その後独立して、主に労働分野を中心に、労働法務、労使紛争、当局対応等のリーガル支援を行う。
原 論 原労務安全衛生管理コンサルタント事務所 代表
社会保険労務士。労働基準監督官として19年間、首都圏の労働基準監督署や労働局に勤務。監督官時代は、賃金不払いや労災事故、労災かくしなどについて多数送検を行う。社会保険労務士の行う手続き業務などは行わず、参謀役となる企業顧問として労務管理や安全衛生管理のアドバイスを行っている一方で、労務管理やブラック企業対策の研修・セミナー講師等を多数行う。一般の労務管理だけでなく、自動車運転者の改善基準や雇用管理における個人情報保護、労災補償問題、安全衛生管理など、縦断的に労働問題の解決を図ることを得意とする。