【質問例】
・従業員の接種歴を調査することは問題ないのか。会社が従業員に「接種証明書」の提出を求めることは可能か。
(出張やイベント時などの理由がある場合含め)
・接種率を調査したい場合、どんな方法なら法的に問題ないか
【回答例】
接種率調査等の集団的データの収集は、無記名でオンライン調査等を行えば、法的問題はない。但し、回答しない者を確認して回答を促すには、担当者を決め、情報取扱いルールで守秘を定めるか、個別的に守秘約定を交わす等の措置が求められよう。
個別的な接種歴は、個人情報保護法上の個人情報であり、プライバシー情報と解される。ただし、取得に際して個別的な本人同意が求められるセンシティブデータとまで言えるかは微妙。
よって、接種をした従業員に対して接種証明書(接種済証)の提供を命じたり、事実上強制するような行為は、上記の私見の4基準に照らして接種自体の必要性が認められるか、以下の4要件を充たさない限り、避けるべき。
1)接種証明の提出を求められる海外勤務を行う、高密度ないし不特定多数の者と接触する条件で就労する予定がある、感染者との濃厚接触の疑いが濃いなどの業務上の必要性がある、
2)利用目的が説明される、 3)ルールと責任体制に基づき、利用目的範囲内での取扱いのための適正な管理がなされる、 4)提出を拒むことによる本人のデメリットや周囲への影響などが丁寧に説明される(Cf.接種証明の提出を求められる海外勤務を行う予定の者が証明の提出を拒んだことで、低査定を受けても違法とは言えない)。 (以上4要件は、吉田肇弁護士の見解を参考にした) |
<執筆者>
三柴 丈典(近畿大学法学部教授)